プラモ人の愛用ツール&マテリアル
・リモネン系接着剤

 最近模型業界で何かと話題の「リモネン」。

 柑橘系の果実皮から取れる油のことで、スチロールに分子構造が似ているため、混ざると溶解する性質を利用して最近プラモデル用接着剤として登場しました。しかし、私の周りでは「接着力が弱いので使えない」などといった具合にあまり良くない評価ばかり耳にします。

 確かに、今までの接着剤は塗ってパーツを張り合わせれば大抵はすぐに付くのですが、リモネン系は塗って少し置いてからでないとパーツが付きません。また、乾燥時間も通常の接着剤に比べて遅いです。

 しかし、これらの性質を逆手に取れば、リモネン系は実に高性能な接着剤なのです!

 例えば、リモネン系接着剤は、こぼしたり余分な所にはみ出してしまった場合、素早くティッシュでふき取ることができます。これは、リモネン系接着剤が通常の接着剤よりも溶解力(接着力)が弱く、乾燥が遅い性質を持つからです。ちなみに、「接着力が弱い」というのは、あくまでも「溶解に時間がかかる」ということであり、乾燥すればしっかりパーツは食いつきますのでご安心を。

 また、このリモネン系接着剤が特に力を発揮するのが「戦車の連結キャタピラ製作」であると筆者は考えています。
 戦車の連結キャタピラ製作は、通常一個一個のキャタピラに接着剤を塗ってはめて塗ってはめてを繰り返しますが、全部はめた状態から流し込み接着剤を流し込んだほうが早く出来上がります。しかし、通常の流し込み接着剤の場合、乾燥が速すぎるためパーツ同士が十分に食いついておらず、車体へ取り付ける際にばらばらになってしまうことが多いのです。ところが、リモネン系流し込み接着剤は乾燥が通常のものより若干遅く、パーツがちゃんと食いついているので取り付ける際もばらばらになることはほとんどありません。ドラゴンのマジックトラックを組み立てる時など最適です。

 現在市販されているリモネン接着剤は、タミヤ、クレオス流し込みタイプの2種類です。タミヤは流し込みではありませんが、通常の接着剤より流動性は少し高いと思います。 また、好みもあるかも知れませんが、とにかく組み立て時のシンナー臭から開放されるというのが一番のメリットでしょう。
(文:プラモ人・ガボラ/2010/12/28)
 


※タミヤリモネンセメントのハケはコシが強く大きいので
同社の流し込みタイプのものに交換して使っています。




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